ストレージの接続方法/インターフェース

PATAはかつて広く使用されていたストレージデバイス接続技術であり、コンピュータの発展に重要な役割を果たしました。しかし、より高速で柔軟性のある技術の登場により、2000年初頭に登場したSATAに取って変わりました。現在も利用されていますが、NVMeが主流のインターフェースとなっています。

このページではデータストレージの接続方式(インターフェース)としてこれまで採用されてきた技術を解説致します。

PATA(Parallel ATA)

PATA(Parallel ATA(Advanced Technology Attachment))、旧称IDE(Integrated Drive Electronics)またはEIDE(Enhanced IDE)、は古いタイプのディスクドライブインターフェースです。1980年代に導入されたこの技術は、主にハードディスクドライブ(HDD)、CD-ROMドライブなどのストレージデバイスをパーソナルコンピュータのマザーボードに接続するために使用されました。

特徴

  • 平行データ転送: PATAは40ピンまたは80ピンのリボンケーブルを使用してデータを平行に転送します。この平行転送方式により、当時としては高速なデータ転送が可能でしたが、転送速度は技術の進化によって限界がありました。
  • 転送速度: PATAの転送速度は、最終的にATA-7規格で定義されたUltra DMA/133(UDMA/133)モードで最大133MB/sに達しました。これはPATA技術の限界であり、後継のSATAに比べて遅い速度です。
  • デバイス接続数の制限: 一つのPATAインターフェースは、マスター/スレーブ設定を通じて2台のデバイスのみをサポートします。これは、同一のリボンケーブル上で2台のデバイスを接続することを意味し、接続可能なデバイス数に制限がありました。

進化と終焉

PATA技術は時間とともに進化しましたが、2000年代初頭に登場したSATA(Serial ATA(Advanced Technology Attachment))に置き換えられました。SATAはより高速なデータ転送速度、よりシンプルなケーブル管理、ホットスワップ機能など、多くの利点を提供しました。これにより、PATAは徐々に市場から姿を消し、現代のコンピュータではほとんど使用されなくなりました。

SATA(Serial ATA)

SATA(Serial ATA)は、コンピュータのストレージデバイス(ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光学ドライブなど)をマザーボードに接続するためのインターフェース規格です。2001年に導入され、旧様式であるPATA(Parallel ATA、別名IDE)規格を置き換える目的で開発されました。”Serial” という名前は、データが直列(シリアル)伝送されることに由来しています。

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主な特徴と利点

高速データ転送

  • SATAは、その進化により、初期の150MB/sから最新規格では6GB/s(SATA 3.0)までのデータ転送速度を提供します。これにより、特に高速なソリッドステートドライブの性能を最大限に引き出すことが可能になりました。

直列データ伝送

  • SATAはデータを直列に伝送するため、転送速度を向上させることができます。また、ケーブルが細くなったことで、ケース内の空気流れが改善され、ケーブル管理もしやすくなりました。

ホットスワップ対応

  • SATAはホットスワップをサポートしています。これは、コンピュータの電源が入った状態で、ドライブを安全に取り外したり接続したりできる機能です。

向後互換性

  • 新しいSATAバージョンは、以前のバージョンとの互換性を保持しています。例えば、SATA 3.0のドライブはSATA 2.0のインターフェースで使用することができますが、その場合は速度が下位規格に制限されます。

SATAのバージョン

SATA規格はいくつかのバージョンがありますが、主なものは以下の通りです。

  • SATA 1.0 (SATA 1.5Gb/s): 最初のバージョンで、最大150MB/sの転送速度を提供します。
  • SATA 2.0 (SATA 3Gb/s): 転送速度が300MB/sに倍増しました。
  • SATA 3.0 (SATA 6Gb/s): さらに速度が向上し、最大600MB/sの転送速度を実現しています。

SATAの派生規格

SATAには派生規格があり、それぞれ異なる用途や要件に対応するために開発されています、一般的なストレージソリューションとしてのSATA規格の普及に大きく貢献しています。

eSATA(External SATA)

これは、外部デバイスとしてのSATA接続を可能にする規格です。通常、外付けハードドライブや外付け光学ドライブなどの外部デバイスに使用されます。eSATAは高速で信頼性が高く、パフォーマンスが重視される外部ストレージ用途に適しています。

SATA Express

これは、PCI Express(PCIe)技術とSATA技術を組み合わせた規格で、高速なデータ転送を可能にします。SATA Expressは、従来のSATAよりも高速なデータ転送速度が必要な場合に使用されます。しかし、一般的な採用はあまり見られず、代わりにNVMe(Non-Volatile Memory Express)がより一般的な選択肢となっています。

mSATA(mini-SATA)

これは、小型のSATA接続規格で、主に小型のデバイスやモバイルデバイスに使用されます。mSATA SSD(Solid State Drive)は、ノートパソコンやタブレットなどのコンパクトなデバイスでの高速なストレージソリューションとして利用されます。

M.2 SATA

これは、SATAインターフェースを使用するM.2規格の一部です。M.2は、コンパクトな形状と高い拡張性を持ち、SSDやワイヤレス通信カードなどのデバイスに使用されます。M.2 SATA SSDは、一般的なSATA SSDよりも小型でありながら、高速なデータ転送を提供します。

NVMe(Non-Volatile Memory Express)

NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、フラッシュメモリやその他の非揮発性ストレージデバイス向けに設計された高速なストレージアクセスプロトコルです。このプロトコルは、特にPCI Express(PCIe)バスを介して接続されたソリッドステートドライブ(SSD)のパフォーマンスを最大化するために開発されました。NVMeは、従来のSATAやSAS(Serial Attached SCSI)インターフェースを使用するSSDよりもはるかに高速なデータ転送速度と低いレイテンシを提供します。

主な特徴

高速データ転送

NVMeはPCIeインターフェースを使用するため、複数のレーンを通じて同時にデータを送受信できます。これにより、ギガバイト単位の秒速でデータを転送できる高帯域幅が実現します。現行のPCIe 3.0 x4接続を使用するNVMe SSDは、理論上の最大転送速度が約4GB/sに達しますが、PCIe 4.0 x4接続を使用するモデルでは、その速度はさらに倍増します。

低レイテンシ

NVMeはコマンドセットとキューイングインターフェースを最適化しており、非常に低いレイテンシでデータアクセスを可能にします。これは、NVMeが直接CPUにより近いPCIeバスを利用することで、複雑なコマンド処理やデータパスを簡略化しているためです。

改善されたキューイングメカニズム

NVMeは、最大64Kのキューをサポートし、各キューが最大64Kのコマンドを持つことができます。これにより、データアクセス要求を高度に並列化し、多数のI/O操作を同時に処理することが可能になります。従来のSATAベースのSSDでは、キューは1つしかなく、コマンドは一度に32までしか保持できませんでした。

汎用性

NVMeはストレージデバイスだけでなく、ネットワーキングやGPUなどの他のPCIeデバイスとも互換性があります。これにより、システム設計者はPCIeスロットをより柔軟に活用できます。

NVMeの用途

NVMe SSDは、その高速な読み書き能力と低遅延特性により、データセンター、エンタープライズ環境、高性能コンピューティング(HPC)、ゲーミング、およびプロフェッショナルなビデオ編集作業など、パフォーマンスが重要なアプリケーションで広く利用されています。

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